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各地で「アートフェア」開催~わたしたちはアート番組を制作

今回は美術館の外で開かれるアートイベントのことに触れてみたいと思います。

「アート」という言葉~工業・商業デザインや建築、美術館やギャラリーが扱う美術作品まで幅広いのですが、アートは何をもたらしてくれるのでしょう?

モネやルノワールなど印象派の作品には美しさがあり幸福感がもたらされます。カンディンスキーの絵にはリズムを感じての心地よさがあります。ゴッホの絵には創造性を発見し感動します。一方、不安を掻き立てるアートもあります。ムンクの絵や以前、多くの来場者で話題になった「怖い絵展」という展覧会もありました。

向こうから耳に入ってきて受身でいられる音楽と違ってアート・美術作品は、能動的に接しなければならない~自分の方から作品に飛び込んでいかなければならない難しさがあります。だから能動的にアートに接した時、「人は何か自分の内部に湧き上がってくるいろいろな感情に驚き、その経験が豊かな『情操』を育んでくれる」と言われるのでしょう。

その「アート」を地域活性化に役立てようと日本各地で大掛かりなアートイベント~アートプロジェクトが盛んです。四半世紀の歴史があり50万人以上が訪れる「大地の芸術祭(新潟県越後妻有)」、3年に一度開催で春・秋・冬の3会期に70万人以上が訪れる“セトゲイ”こと「瀬戸内国際芸術祭(香川県・岡山県)」。アートの様々な力が人々を魅了し海外からの来訪者も含め大きな集客力につながっています。

期間限定のアートイベントではなく恒久的にアートを街づくりに活用し成功した街もあります。その最たるところがフランスのナントです。かつて貿易で栄えた街もくすんで、さびれていたところ(筆者もその頃に訪ねたことがあります)1990年代以降、街は文化都市を目指して様々なアートプロジェクトを始めました。

街中がアートで溢れ、毎年夏には「ナントへの旅(Le Voyage à Nantes)」という現代アートのイベントが行われ活況を呈しています。またナント発祥の世界最大級のクラシック音楽祭「ラ・フォル・ジュルネ」は日本でも有名になりました。

百貨店もアートに力を入れ始めています。モノが売れなくなった百貨店が人の心に様々に語り掛けてくれるアートに注目。「モノ」から「コト」へです。松坂屋大丸グループはその先頭を走っています。

博多大丸(福岡市中央区)は、8月に福岡天神店東館エルガーラ5階フロア全体に九州最大級の「ARTギャラリー&カフェ」をオープン。グローバル展開をしている東京の「galleryUG」も出店。福岡のアートマーケットを引っ張ってくれそうです。

またギャラリーがお抱えのアーティストの作品を携えて一堂に参加する「アートフェア」も各地で盛んです。アート・トレードショーです。画廊、ギャラリー巡りが一つの場所でできます。一堂に観て、購入することができるのが人気です。

スイス北西部の都市バーゼルで毎年6月に開催される世界最大級の現代アートフェア「アート・バーゼル」は世界的に最も有名で5大陸から200以上の一流ギャラリーと4,000人以上のアーティストが参加。約9万人が世界中から集い、バーゼルの街中がアートの熱気に包まれると言います。

アジアでも香港、台北、ソウル、東京で大きなアートフェアが開催されています。

2024年のグローバルアート市場全体の規模は575億ドル(約8兆3,500億円)。

2年連続で減少したのですが、そのグローバル市場で1%に過ぎない日本だけが昨年は2%の伸びを記録したそうです。展覧会には行くがアート作品は買わない日本人。そんな状況の日本ですが、まだまだ伸びしろはありそうです。

ここ福岡でも日本とアジアを結ぶ交流都市ということで10回目の「アート フェア アジア福岡(通称AFAF)」が先日、開催され賑わいました。昨年の売上2億8000万円を超えたようです(現時点で最終集計結果が出ていません)。

アートによる街づくりを目指す福岡市のリーディングイベントになってきました。

TNCプロジェクトは、福岡のアートフェア、アートシーンを応援しようと3年前からAFAF応援番組を企画制作し放送しています。 今年は「アーティストとコレクターの出会い、その二人をつなぐギャラリー」というテーマで番組を制作し放送しました。

わたしたちは、これからも展覧会や番組という形でアートの魅力を届けていきます。

筆者:のぎめてんもく

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